世界中で女性指揮者はわずか6%。しかもパリで育ったアルジェリア系移民の子である少女が、パリの名門音楽院に編入し、格式高いクラシック界へ挑むとは、その道は苦難の連続だと想像に難くない。現在も年間約40のコンサートを開催し、精力的に活躍の場を広げているディヴェルティメント・オーケストラを立ち上げた一人の少女と仲間たちの物語『パリのちいさなオーケストラ』が9月20日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町・新宿シネマカリテほか全国順次公開となる。
パリ近郊の音楽院(コンセルヴァトワール)でヴィオラを学んできたザイア(ウーヤラ・アマムラ)は、妹のフェットゥマ(リナ・エル・アラビ)と共に、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者セルジュ・チェリビダッケ(ニエル・アレストリュプ)に気に入られ、「女性は指揮者向きじゃない。皆2週間でやめた」と言われながらも、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める-。
ザイアは、巨匠セルジュ・チェリビダッケに指導を受け、時に厳しく時に温かく対話を重ね、音楽を学ぶ。さらに貧富の格差なく誰もが楽しめるように、パリ市内の上流家庭出身の生徒たちと移民の多いパリ近郊の地元の友人をまとめ、垣根を超えたオーケストラを結成した。この実話を映画化したのは『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』の監督マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール。主要キャスト以外の配役は現役音楽家を抜擢。数々の美しい有名クラシック音楽が、実際に演奏しながら撮影され、ライブ感あふれる演奏シーンに心躍る感動作である。
『パリのちいさなオーケストラ』
9月20日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開
監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール
出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ
配給:アット エンタテインメント
公式サイト:parisorchemovie.com
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