4年前、初めて人生を激白した若大将
SPECIAL FEATURE 2017年4月1日号より
エレキやピアノの楽器をこなしピアノコンチェルトまで作曲すれば、スキー、サーフィン、水上スキーとスポーツも万能。加山雄三は映画『若大将』シリーズの主人公そのもの。女性のみならず同時代を生きる男性たちにとっても憧れの存在。さらには、料理を作ればプロの料理人顔負けの腕前を披露し、絵画の腕も玄人はだしで、個展も開き、画集も出版するほどで、船の設計までも手がけるという多才ぶりで知られる。理系の知力と文系の感性を持ち合わせた人物だ。また、若い世代の後輩ミュージシャンからは〝リアルヒーロー〟〝レジェンド〟〝キング〟とリスペクトされていて、同じステージで今もロックに興じる。その若大将こと加山雄三が、4月30日に80歳を迎える。80歳は人生を振り返り、思い出を語る年齢ではなく、明日を生きる通過点であることを、未知の分野に好奇心を持ち進化し続ける加山雄三は身をもって証明している。
企画協力・写真提供=加山プロモーション、ドリームミュージック
文=田家秀樹
何しろ、 80 歳である──。
どんな人にでもいい。〝 80歳のイメー ジ〟について訊いた時に返ってくる答えがあると思う。誰一人、彼のような姿を思い浮かべる人はいないのではないだろうか。
2017年4月 11 日、加山雄三は80歳になる。
その一ヶ月半前、彼はライブハウスのステージに立っていた。若いバンドやアーティストの登竜門として知られている恵比寿のリキッドルーム。ソロではない。2014年に結成されたロックバンド、THE King ALL STARSのヴォーカリストとしてである。13 名の実力派ミュージシャンの中の最年少メンバーとは48歳違うという世代を超えたロックバンド。〝King〟という名前は〝ロックの王様〟 エルヴィス・プレスリーがモチーフになった。約1000名の客席はオールスタンディング。彼は、エルヴィスが歌っていたロックンロールから代表曲「君といつまでも」などを熱唱。客席からは 〝若大将!〟というコールが鳴止まなかった。ライブの翌週、事務所でこう語ってくれた。
いつも反省ばかりですよ。もうちょっとテンポアップした方が良かったかなとか、音量がでかすぎて音程が取りにくかったかなとか。下積みのな い人間としては、そういう経験が非常に重要だなと思って、小さいところでやってるんですが。でも、若い人たちからの反応はこの上ない幸せ。孫みたいのがいるわけです(笑)。彼らが僕の50年前に書いた曲を聴いてくれて古くないと言ってくれる。音楽を愛してきて、親友としてきて良かったなとつくづく思うんですね。