1894年にフランスで起きた歴史的免罪事件〝ドレフュス事件〟が、巨匠・ロマン・ポランスキー監督によって映画化された。〝ドレフュス事件〟は、当時のフランスの土台を揺るがす深刻な分断をもたらし、世界を震撼させた事件である。
フランス陸軍参謀本部の大尉ドレフュスが、ドイツに軍事秘密を流したスパイ容疑で終身刑を宣告される。彼の無実を示す衝撃の証拠を発見した対敵情報活動を率いるピカール中佐はスキャンダルを恐れ、証拠の捏造や文書の改竄などあらゆる手で隠蔽をもくろむ国家権力に抗い、真実と正義を追い求める。
第76回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を受賞。様々な議論を巻き起こしたフランスでは、第45回セザール賞で3部門 (監督、脚色、衣装) を受賞し、No.1大ヒットを記録した。出演は『アーティスト』のオスカー俳優ジャン・デュジャルダン、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のルイ・ガレル他フランスを代表するキャストが集結した。
その圧倒的なまでにサスペンスフルで、心揺さぶるストーリー展開は、衣装や美術などのあらゆる細部を突きつめた重厚なビジュアルと相まって、ひとときも目が離せない。フランス国家を揺るがした、国家隠蔽スキャンダルをスクリーンで確認したい。
<ドレフュス事件>とは
1894年、フランス。ユダヤ系のドレフュス大尉がドイツのスパイとして終身刑に処せられる。1896年に真犯人が現れるが軍部が隠匿。これに対し小説家ゾラや知識人らが弾劾運動を展開し政治的大事件となった。1899年、ドレフュスは大統領の恩赦により釈放。1906年に無罪が確定した。2021年10月には本国で、その生涯に敬意を表するドレフュス博物館が開館。マクロン大統領も来訪し「記憶伝承の場」と世界に訴えた。
6月3日(金)TOHOシネマズ シャンテ他 全国公開
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロバート・ハリス、ロマン・ポランスキー
原作:ロバート・ハリス「An Officer and a Spy」
出演:ジャン・デュジャルダン、ルイ・ガレル、エマニュエル・セニエ、グレゴリー・ガドゥボワ、メルヴィル・プポー、マチュー・アマルリック他
配給:ロングライド
公式サイト:longride.jp/officer-spy/