今も戦禍の中にあるウクライナ。世界中がその動向に目が離せない毎日である。ウクライナの映画界の俊英として期待を集めるヴァレンチン・ヴァシャノヴィチが、監督、脚本、撮影、編集、製作を手がけた『アトランティス』(2019)と『リフレクション』(2021)が6月25日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開される。
先の東京国際映画祭をはじめ、世界でも絶賛された2作品である。ヴァシャノヴィチ監督独自の研ぎ澄まされた映像の世界から、これまでのウクライナが辿ってきた過去と、これからのウクライナが辿るであろう未来を鮮明に映し出した2作をスクリーンで観ていただきたい。
なお、2月のロシア侵攻以降、ヴァシャノヴィチ監督はカメラを構え、戦禍の現実を撮影していると伝えられている。監督の無事と一日も早い終息を願わずにいられない。
<STORY>
ロシアとの戦争終結から1年後の 2025 年。戦争で家族を亡くし、唯一の友人も失った孤独な主人公セルヒーが、兵士の遺体発掘、回収作業に従事するボランティア団体の女性との出会いをきっかけに、自らが“生きる”意味と向き合っていく姿を描く。死に覆いつくされた世界を漂流する生のはかなさと、そこに芽生えた愛の尊さをサーモグラフィー・カメラが鮮烈に映し出す。
■『アトランティス』
【監督・脚本・撮影・編集・製作】ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
【出演】出演:アンドリー ・ ルィマルーク 、リュドミラ・ビレカ、ワシール・アントニャック
配給:アルバトロス・フィルム ©Best Friend Forever
<STORY>
クリミア侵攻が始まった2014年。従軍医師のセルヒーは、東部戦線で人民共和国軍の捕虜となり、悪夢のような非人道的行為を経験。やがて首都キーウに帰還したセルヒーが、失われた日常を取り戻そうと苦闘する姿を、娘ポリーナとの触れ合いを軸に見すえていく。戦争と平和、生と死、肉体と魂、そして贖罪。深遠なる多義性に富んだ本作には、ヴァシャノヴィチ監督の並外れた才気が凝縮されている。
■『リフレクション』
【監督・脚本・撮影・編集・製作】ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
【出演】ロマン・ルーツキー 、 アンド リー ・ ルィマルーク 、ニカ・ミスリツカ
配給:アルバトロス・フィルム ©Arsenal Films, ForeFilms
公式サイト:Atlantis reflection.com