新型コロナウイルス第7波の感染者数がなかなか減らない。テレビニュースから伝わる医療従事者の苦悩や、感染者の不幸な死に心を痛める毎日である。一刻も早い収束を期待はするものの、この先どうなっていくのだろうかと、不安が募る。
世界的なパンデミックの影響で、映像産業も大きなダメージを受けた。撮影の中断を余儀なくされた作品も多い。そんな逆境を逆手に取り、〝ハリウッドの破壊王〟とよばれるマイケル・ベイは、新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう中、2020年7月ロックダウン下のロサンゼルスで撮影を敢行した。リアルな映像環境を組み込むため、iPhone、GoPro、監視用カメラを多用して撮影。この時期にしか撮ることができない作品を作り上げた。キャストには先進気鋭の若手俳優と、ベテランが結集した。
物語は2024年のロサンゼルス。新型コロナウイルスは、さらに強力で致死率の高い恐ろしいウイルス「COVID-23」へと変異し、感染者は「Qゾーン」と呼ばれる隔離キャンプに強制収容され、決してそこから逃れることができない。感染症が流行する中、富める者は相変わらず快適で特権を満喫できる生活を送る一方、そうでない者たちはつらい日々を送る。そんな未来予想図をみせられれば、打ちのめされてしまいそうになるが、本作の核になっているのは、ロックダウン下で恋に落ちた若いカップルである。ドア越しに、またスマートフォン越しで愛を交わす。
ウイルスと閉鎖によって物理的に接触できない、離れ離れにされている若いカップルは、狂気が満ちた困難な状況の中で、互いの絆がより強固なものになっていく。生きる喜びを改めて感じさせてくれるのだ。
この映画は、決して非現実の想像の産物ではない。スリルもたくさんあり、私たちの心に訴えかけるのである。「希望」はあると─。
『 ソングバード』
10月7日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー
提供:WOWOW
配給: ポニーキャニオン
製作:マイケル・ベイ マルセイ・A・ブラウン ジェイソン・クラーク ジャネット・ヴォルトゥルノ アダム・グッドマン アンドリュー・シュガーマン エベン・デヴィッドソン
出演:KJ・アパ ソフィア・カーソン クレイグ・ロビンソン ブラッドリー・ウィットフォード ピーター・ストーメア アレクサンドラ・ダダリオ ポール・ウォルター・ハウザー デミ・ムーア
監督・脚本:アダム・メイソン 共同脚本:サイモン・ボーイス 2020年/アメリカ/英語・スペイン語/5.1ch/シネスコ/84分/原題:SONGBIRD