22.12.15 update

堺正章の「街の灯り」、 1973年アイドル歌手がひしめく中のヒット曲

 最近ボクは、同い年の作詞作曲家でありシンガーソングライターの、すぎもとまさと(杉本眞人)が歌う楽曲にはまっている。「吾亦紅」で亡き母を想い、「冬隣」や「Tokyoに雪が降る」で若き日の恋慕の人を想い涙する爺さんなのである。(歌手名はひらがな、作詞作曲家は漢字、表記を使い分けているフシがある)

 杉本眞人は、ちあきなおみ(かもめの街、冬隣、紅い花など)、八代亜紀(ほんね)、小柳ルミ子(お久しぶりね)、五木ひろし(それは…黄昏)ら当代の流行歌手に多くの楽曲を提供しているが、アコースティックギターの爪弾きと彼の絞り出すような嗄れた声に惹かれている中高年ファンは多いはずだ。「街の灯り」(作詞・阿久悠、作曲・浜圭介)は多くの流行歌手がカバーしているが、すぎもとまさともまた最新作のアルバム『薄荷抄』に「昭和最後の秋のこと」とともに、〝すぎもと節〟で歌い上げている。久しぶりにこの楽曲を耳にして、わが二十代の苦い思い出がよぎったという次第。

 田辺昭知率いる超人気GS〈ザ・スパイダース〉のボーカルだった堺正章は、1970年グループ解散後ソロデビューし、いきなり「さらば恋人」が大ヒット。「街の灯り」はその余勢を駆って1973年(昭和48)にリリースされ、この年の日本レコード大賞作曲賞受賞、暮のNHK第24回紅白歌合戦にも歌唱している。ちなみに1973年は、新御三家(西城秀樹、郷ひろみ、野口五郎)が牽引しながら、花の中三トリオ(森昌子、桜田淳子、山口百恵)、麻丘めぐみ、アグネス・チャン、あべ静江などアイドル歌手のデビューも多く、相次ぐ流行歌のヒットをよそに、フォークソングの新潮流、井上陽水、かぐや姫、チューリップなども台頭してきていた。これらの歌手や楽曲それぞれが、人々の胸の内にあって今でも懐かしくよみがえるのは、歌謡曲こそ人生の肥しであり心を潤してくれるからで、昭和世代の宝物といえるヒット曲豊作の年なのである。中でも「街の灯り」はロングセラーとなって今でもカバーされるほど、懐かしさが沁みる楽曲なのだろう。

イラスト:山﨑杉夫

1 2

新着記事

  • 2026.01.29
    第19回『東宝映画スタア☆パレード』三國連太郎 ひ...

    文=高田雅彦

  • 2026.01.29
    第69回【萩原朔美 スマホ散歩】風の日の記憶

    強く冷たい風を撮る

  • 2026.01.29
    松岡美術館「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」観賞券

    応募〆切:2月27日(金)

  • 2026.01.29
    大ヒットドラマが映画『五十年目の俺たちの旅』となっ...

    中村雅俊「俺たちの旅」

  • 2026.01.27
    徳川慶喜、渋沢栄一ほか多くの歴史人を訪ねる谷中散歩...

    谷中さんぽを楽しむ

  • 2026.01.27
    【お出かけ情報】小田急多摩センター駅が新たにサンリ...

    小田急多摩センター駅がリニューアル

  • 2026.01.26
    12年ぶりの共演となる当世を代表する俳優、藤山直美...

    2月5日(木)~24日(火)

  • 2026.01.26
    【箱根びと訪問】伝統と格式を守りながらイノベーショ...

    小田急山のホテル 小山哲史支配人

  • 2026.01.22
    【お出かけ情報】いちご狩り体験がいよいよシーズン!...

    京成沿線いちご狩り

  • 2026.01.22
    「とんでとんで」「まわってまわって」と日本中に広ま...

    円広志「夢想花」

映画は死なず

特集 special feature  »

<特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

特集 <特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

特集 松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!