21.05.28 update

光石研さんと梅ケ丘

普段着の味わいがする「梅ヶ丘」を楽しむ

TOWN STORY 2011年10月1日号より


新宿から各駅停車で13分、身近な町なのに訪れる機会のなかった梅ヶ丘。俳優・光石研さんに誘われて小田急線梅ヶ丘を訪ねることになった。これまでの住いのほとんどが小田急線沿線という光石研さんにとって梅ヶ丘もまた、親しく接してきた町である。季節折々の木々の装いが人々をなごませる自然があり散歩の足を何度も立ち止まらせる商店街の店々。それは決して特別な風景ではないが、町が当世風に様変わりする今の時代、懐かしい風景になってしまった。これからの季節、カーディガンでもひっかけて普段着で歩きたくなる町。梅ヶ丘は「何気ない日常」という個性を持つ町であった。
photograph by Tadashi Okakura

みついし けん 俳優。1961年福岡県生まれ。16歳の時映画『博多っ子純情』で主役デビュー。以後、映画やテレビで活躍。映画『セーラー服と機関銃』『ユリイカ』『スワロウテイル』『亡国のイージス』『それでもボクはやっていない』『めがね』『悪人』『十三人の刺客』、テレビ「おしん」「武蔵MUSASHI」「すいか」「Dr.コトー診療所」「義経」「ハゲタカ」「ゲゲゲの女房」など多数の出演作がある。

 高校生のとき映画『博多っ子純情』でデビュー以来、映画にテレビにと実に数多くの作品に出演している俳優、光石研さん。2007年には年間12本もの映画に出演し、邦画助演出演ランキング1位の記録がある(「日経エンタティメント」調べ)。出演作が多いので、どの役の「光石研」が記憶に刻まれるかは人それぞれだろう。俳優としてのキャリアもすでに30年以上になるが、その歴史は光石さんの小田急線との付き合いの時間と重なる。「住まいがずっと小田急線の沿線なんです。千歳船橋、向ヶ丘遊園、経堂、なぜか離れられないんです。梅ヶ丘でも暮らしたことがあります」という光石さんにとっておきの梅ヶ丘をご紹介願うことにした。

梅ヶ丘の改札を出ると、北口と南口に分かれる。北口は羽根木公園や警察署や、図書館などがあり閑静な趣、片や南口は梅丘商店街があり活気が感じられる。いいバランスだ。ちなみに駅名は梅ヶ丘だが、地名は梅丘と記される。まずはジョギングでもよく訪れていたという、町の人たちの憩いの場所、羽根木公園へ。園内には650本もの梅の木が植えられており、梅の季節には、〈せたがや梅まつり〉が催され、咲き匂う梅の香を楽しむ多くの人で賑わう。普段は緑豊かな園内を散歩する人あり、テニスを楽しむ人あり、と、〝世田谷時間〟ともいえる豊かな生活時間が流れる場所である。公園のすぐ近くには北沢川緑道があり、ここでも散歩の足をしばし休める人、木陰で読書をする人などに出会った。

1 2 3 4

映画は死なず

新着記事

  • 2024.10.10
    戦後日本映画界に颯爽と現れるや時代のヒーローとして...

    石原裕次郎「赤いハンカチ」

  • 2024.10.09
    都会の喧騒に佇むゲストハウスに集う人々の心温まるヒ...

    応募〆切:11月5日(火)

  • 2024.10.09
    10月14日の「鉄道の日」をはさんで、海老名のロマ...

    10月9日(水)~11月18日(月)

  • 2024.10.09
    女優・高峰秀子生誕100年、ウェディングドレス姿が...

    10月5日(土)~1月13日(月・祝)

  • 2024.10.08
    釈放当日─世紀の瞬間の舞台裏を撮った、1台のカメラ...

    応募〆切:10月20日(日)

  • 2024.10.08
    東京ステーションギャラリー「テレンス・コンラン モ...

    応募〆切: 10月31日(木)

  • 2024.10.08
    秋バラが間もなく見ごろを迎える「谷津バラ園」 谷...

    京成電車下町さんぽ「谷津」

  • 2024.10.07
    「世界の持続可能な観光地TOP 100選」第1位の...

    箱根彩彩

  • 2024.10.03
    令和の今もコーラスで親しまれるH2Oが昭和58年リ...

    H2O「想い出がいっぱい」

  • 2024.10.02
    松田優作唯一のドキュメンタリー映画『SOUL RE...

    文=河井真也

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!