─― 箱根湯本駅の新型コロナ対策は万全だと思ました。出縄駅長は51歳とお若いですね、ずっと箱根登山グループですか。
出縄 私は平塚市の出身で、叔父が小田急電鉄に勤めていて、小さいころはよく電車に乗っていろいろなところに連れて行ってくれました。それがきっかけで鉄道に興味を持ちました。強羅にスケートリンクがあった時代、実は箱根登山鉄道がやっていたのですが、そこにも連れて行ってもらいました。その時、ロマンスカーに乗せてもらってこの駅へ来た記憶が鮮明で、まさか思い出深いこの箱根湯本駅でこんな立場になるとは思いもしませんでした。以前は、先ほどお話ししたバスの会社や系列のタクシーの会社にもいました。人事、総務にも7年ほどいました。
─― 今、試運転が始まりました。ルーティーンでしなければいけないことが多いと思いますが。
出縄 鉄道乗務員が7か月間乗務していませんでしたから、いろんな感覚を取り戻すことが重要です。止まっていますと、法令上何キロ以上運転しなければいけないという決まりがありますので、それを今必死でやっているところです。一日10何往復する時もあります。
─― 万全の体制でお客様を迎えなければいけませんね。
出繩 箱根湯本では、向かいのお土産屋さんもまだオープンしていません。入社以来ゴールデンウイークはいつも人がいっぱいで、駅前のバス停にも人が溢れかえっている状態ですが、こんなに閑散としているのは初めてです。台風一過後、バスでの代替輸送が始まり、徐々にお客様も大勢いらっしゃって、連日バス待ちの長蛇の列が出来、その対応に追われる毎日でした。被災する前は、同業他社の方が平日箱根にいらっしゃると、決まって「平日なのにこんなに人がいるんだ」とよく驚かれました。非常にありがたいことです。
─― バス、鉄道は公共機関なので、皆さんの意識は高く、社会的な責任を果たす大事なお仕事ですね。
出縄 全職員が同じ気持ちで仕事に向かっていることを、大切に思っています。