3月から始めた
オンライン配信
――休みの期間はどのように過ごしていらしたんですか。
加藤 実は休業という意味ではまったくの休みということではなかったんですよ。もちろん通常のライブを実施することなどできませんが、まともにイベントができないので、3月の頃からいわゆるオンライン配信というものをやり始めたんです。だから、緊急事態宣言以降はオンラインのみでの公演をずっとやっていました。お客様に来ていただけるようになってからも、オンラインのみで配信しているライブもあります。
――オンライン公演であっても人が集まるというのは、どこかはばかられるところがあったのではないですか。
加藤 お客様を入れない無観客ライブであることはもちろんですが、まずバンドのライブは人数が多くなるので無理でしたね。ソロでのライブはできましたが。音楽ライブ以外で、トークライブというのは結構やっていましたね。とにかく、集まる人数を最低限に抑えながら実施しました。有料もあれば無料ライブもあります。このオンライン配信でお客様とはつながっていられたような気がします。コロナ禍にあってのステイホームということで、オンライン配信にお金を払うというハードルは下がりましたね。もしかすると、今後も定着していくのではないかと思いますし、特に、地方のお客様には喜ばれているようですね。とは言え、やはりお客様と直に向き合ってこそのライブなので、ためらいなく安心して文字通り〝ナマ〟を楽しんでいただける状況になることが望ましいとは思います。
瀕死のライブハウスを救う
トークライブで再開
――6月1日には、東京都でも映画館や劇場の再開が制限つきで可能になりましたが、お客様をお入れしてのライブということではいつが再開ということになりますか。
加藤 都の休業要請の緩和が、遊興施設への要請を解除するステップ3に移行した6月12日時点では、感染予防対策に関するライブハウスのガイドラインはまだ発表されていませんでした。また、「接待を伴う飲食店やライブハウス」といった業種はステップ3には含まれておらず、19日から行うさらなる緩和で要請を解除するということで、13日に<ロフトプロジェクト>も加入しているライブハウスの運営会社が協力して設立した一般社団法人ライブハウス コミッション他、4団体の連名で、再開に向けた具体的な感染対策のガイドライン「ライブホール、ライブハウスにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表しました。それでもミュージックライブというのはなかなかできなくて、お客様をお入れして再開したのは6月27日<LOFT9Shibuya>でのトークライブでした。
――どんな内容のトークライブで、入場者数は何人くらいだったのですか。
加藤 『勝手にしゃべりやがれ!』というトークライブで、コロナ禍で大打撃を受けたミニシアターを盛り上げるために、映画監督の白石和彌さん、荒井晴彦さん、森達也さん、井上淳一さんで結成された<押しかけトーク隊>が、同じくコロナで瀕死状態のライブハウスを救うべく<LOFT9>に押しかけるというイベントです。この頃は映画館はすでに再開していましたが、舞台挨拶などはできないという状況で、この4人がZoomを使って舞台挨拶していたんですよ。それをZoomではなくリアルでやろうということになって実施しました。お客様も着席で50人入れました。通常の3分の1くらいですね。プラス、オンラインでも配信しました。