20.10.07 update

お客様の協力なしでライブハウスの維持はできません

3月から始めた
オンライン配信

――休みの期間はどのように過ごしていらしたんですか。

加藤 実は休業という意味ではまったくの休みということではなかったんですよ。もちろん通常のライブを実施することなどできませんが、まともにイベントができないので、3月の頃からいわゆるオンライン配信というものをやり始めたんです。だから、緊急事態宣言以降はオンラインのみでの公演をずっとやっていました。お客様に来ていただけるようになってからも、オンラインのみで配信しているライブもあります。

――オンライン公演であっても人が集まるというのは、どこかはばかられるところがあったのではないですか。

加藤 お客様を入れない無観客ライブであることはもちろんですが、まずバンドのライブは人数が多くなるので無理でしたね。ソロでのライブはできましたが。音楽ライブ以外で、トークライブというのは結構やっていましたね。とにかく、集まる人数を最低限に抑えながら実施しました。有料もあれば無料ライブもあります。このオンライン配信でお客様とはつながっていられたような気がします。コロナ禍にあってのステイホームということで、オンライン配信にお金を払うというハードルは下がりましたね。もしかすると、今後も定着していくのではないかと思いますし、特に、地方のお客様には喜ばれているようですね。とは言え、やはりお客様と直に向き合ってこそのライブなので、ためらいなく安心して文字通り〝ナマ〟を楽しんでいただける状況になることが望ましいとは思います。

1991年10月に、新宿ロフトの姉妹店としてオープンした下北沢SHELTER(シェルター)。エレファントカシマシが出演していたライブハウスとしても知られている。ちなみに下北沢最初のライブハウスは平野オーナーが1975年にオープンした下北沢LOFTだった。

瀕死のライブハウスを救う
トークライブで再開

――6月1日には、東京都でも映画館や劇場の再開が制限つきで可能になりましたが、お客様をお入れしてのライブということではいつが再開ということになりますか。

加藤 都の休業要請の緩和が、遊興施設への要請を解除するステップ3に移行した6月12日時点では、感染予防対策に関するライブハウスのガイドラインはまだ発表されていませんでした。また、「接待を伴う飲食店やライブハウス」といった業種はステップ3には含まれておらず、19日から行うさらなる緩和で要請を解除するということで、13日に<ロフトプロジェクト>も加入しているライブハウスの運営会社が協力して設立した一般社団法人ライブハウス コミッション他、4団体の連名で、再開に向けた具体的な感染対策のガイドライン「ライブホール、ライブハウスにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表しました。それでもミュージックライブというのはなかなかできなくて、お客様をお入れして再開したのは6月27日<LOFT9Shibuya>でのトークライブでした。

――どんな内容のトークライブで、入場者数は何人くらいだったのですか。

加藤 『勝手にしゃべりやがれ!』というトークライブで、コロナ禍で大打撃を受けたミニシアターを盛り上げるために、映画監督の白石和彌さん、荒井晴彦さん、森達也さん、井上淳一さんで結成された<押しかけトーク隊>が、同じくコロナで瀕死状態のライブハウスを救うべく<LOFT9>に押しかけるというイベントです。この頃は映画館はすでに再開していましたが、舞台挨拶などはできないという状況で、この4人がZoomを使って舞台挨拶していたんですよ。それをZoomではなくリアルでやろうということになって実施しました。お客様も着席で50人入れました。通常の3分の1くらいですね。プラス、オンラインでも配信しました。

ロフトプロジェクトの再開最初のライブは6月27日に<LOFT9 Shibuya>でのトークライブだった。「勝手にしゃべりやがれ!」ロフト支援企画『同調圧力に抗う』というもので、コロナ禍で存続を危ぶまれるミニシアターを応援するために、荒井晴彦(脚本家、映画監督)、森達也(作家、ドキュメンタリーディレクター)、白石和彌(映画監督)、井上淳一(映画監督、脚本家)が結成した「押しかけトーク隊」が、やはりコロナ禍で瀕死状態のライブハウスを救うために<LOFT9>に押しかけ!?るというもので、ゲストとしてミュージシャンのPANTAも登場した。ライブ会場入場チケットは、感染症対策のため限定着席50席で2,000円、オンライン視聴チケットは1,000円だった。

1 2 3

新着記事

  • 2025.04.21
    【お出かけ情報】ボランティアの人々に守られている〝...

    5月8日(木)~25日(日)

  • 2025.04.21
    芦ノ湖のシンボル〈箱根海賊船〉がリニューアル!イギ...

    4月26日(土)より

  • 2025.04.21
    中国の国民的人気俳優が演じる、脚本家の夢破れ弔辞を...

    4月25日(金)全国順次公開

  • 2025.04.18
    小椋佳、きたやまおさむ、クミコ、清水ミチコらに加え...

    9月26日(金)開催決定

  • 2025.04.18
    世界のホームラン王・王貞治の生誕の地「八広」を行け...

    「八広駅」散策

  • 2025.04.17
    【お出かけ情報】一生に一度は訪れたい「花と光の楽園...

    4月12日日(土)~5月18日( 日)

  • 2025.04.17
    映画雑誌「SCREEN」と近代映画社の仕事を振り返...

    4月5日(土)~7月27日(日)

  • 2025.04.17
    【お出かけ情報】成城100年! 〈コモレバWEBマ...

    5月18日、25日開催

  • 2025.04.17
    【お出かけ情報】残雪の美しい富士山と芝桜の絶景が楽...

    4月12日~5月25日(日)

  • 2025.04.17
    ブレッド&バターの「あの頃のまま」の作詞作曲「呉田...

    ブレッド&バター「あの頃のまま」

映画は死なず

特集 special feature  »

<特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

特集 <特集>今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!