24.07.29 update

郷土の歴史と天文を学べる博物館がある、八代将軍徳川吉宗に由来する「お花茶屋」駅に降りてみた

郷土史と天文を学ぶことができる博物館へ

 お花茶屋に行ったら、ぜひ訪れたいのが、「葛飾区郷土と天文の博物館」である。その名称のとおり、「郷土史」と「天文」という2つの異なった組み合わせのテーマで構成された博物館である。「天文」のフロアでは、プラネタリウムや天体望遠鏡を通して、都会では見ることのできない星の世界を楽しみ学ぶことができる。直径18mの傾斜型ドームには140席があり、1時間ほどのオリジナル番組が日によっては5回ほど放映される。
 16時から放映された番組「宇宙の距離はしご」を初めて鑑賞した。椅子に坐り、室内が暗くなると、天井には満天の星が輝き出す。星座の名前や由来、うっすらと延びる白い帯状の天の川、太陽系の惑星について解説が流れてきた。夜空に見える星は一つひとつ距離が異なるが、星や銀河までの距離を測る4つの方法が紹介された。漆黒の空に輝く星がこれほどまでに多いことに驚き、子供たちにとっては学習だが、大人でも銀河の神秘を改めて味わうことができた。多くの人に鑑賞してもらいたい内容だ。

 郷土のフロアは、古代から現代までの葛飾の歴史をわかりやすく、工夫された展示になっている。戦後、葛飾の花形産業だったボルト・ナット家内工場や昭和30年代の住居が再現され、ここ60年から70年の間にすさまじく変わった葛飾の産業も興味深い。

 ちょうどこの日は、小学生が見学に訪れ、目を輝かせて館内を回っていた。子供たちは生まれた地域の歴史を知り、宇宙への夢が育まれたに違いない。夏休み期間中には、本物の土器の破片を使って拓本を作ったり、竹細工、湯絞りの体験ができたり、学びながら楽しめるイベントも予定されている。

 今年の5月、北海道の名寄市など日本各地でオーロラが観測されるという珍しい現象が起こった。そこで、本館では7月20日(土)~9月30日(月)の期間、3階天文展示室では「太陽活動とオーロラ」展、プラネタリウムでも8月11日から「オーロラ」を特集した番組が放映される。学びの場は貴重である。博物館を訪れた子供たちから未来の天文学者や歴史学者が誕生するかもしれない。

葛飾区郷土と天文の博物館
[住]葛飾区白鳥3-25-1
[開館時間]9:00~17:00(火曜~木曜、日曜・祝日) 9:00~21:00(金・土曜 祝日を除く)入館は閉館の30分前まで
[休館日]月曜(祝日の場合は開館)第2・4火曜(祝日の場合は開館し、その直後の平日は休館)年末年始
[入館料] 大人100円、小中学生50円、幼児無料
[プラネタリウム観覧料]大人350円、小・中学生100円 幼児(座席を使う場合)50円
[お問い合わせ]03-3838-1101
[HP]https://www.museum.city.katsushika.lg.jp/

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