東京港区虎ノ門地区は、大規模な開発が着々と進んでいる。1965年に竣工した第11森ビルは姿を消し、新しく東京メトロ日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅が誕生するなど、最も変貌著しい都心エリアだろう。隣接するのは神谷町駅で、68年に「東京農林年金会館」が開業。霞ヶ関に近い土地柄から官公庁や国会関係者、政治家などの会議や宴会場として広く活用され、のちに宿泊施設を拡大して新館が竣工され「虎ノ門パストラル」になった。一時は結婚式場としても人気で86年には挙式数日本一を達成した。その後「虎ノ門パストラル」は2009年9月30日で営業を終え、国家戦略特区に認定された約5,000坪の跡地を森トラスト株式会社が再開発をすることになった。
斯くして約10年の歳月を経て、2020年3月、地上38階、地下3階、高さ180mの超高層ビルの複合施設「東京ワールドゲート 神谷町トラストタワー」が竣工したのである。1、2階はオフィスロビーとラウンジ、3階から30階はオフィスが占め、31階から36階は、建築家の隈研吾氏の内装による、地上140mに巨大な庭園ロビーが設えられたホテル、「東京エディション虎ノ門」が開業した。「EDITION(エディション)」は、リッツカールトンと肩を並べるマリオットグループの最上級ブランドのホテルといわれ、日本初の進出だ。そしてこの度、新型コロナウイルス感染症が蔓延する以前から、オフィス棟のテナント入居が予定どおり進みほぼ満室となって、本年1月にオーナーである森トラスト株式会社の本社移転を発表、5月10日、虎ノ門2丁目タワーから神谷町トラストタワーに24年ぶりの本社移転を完了した。