とかく年配者の趣味と思われがちな「盆栽」だが、近年は幅広い世代に楽しまれており、特に海外では人気が上昇している。
かつて、東京の団子坂(文京区千駄木)周辺には、江戸の大名屋敷などの庭造りをしていた植木職人が多く住んでいて、明治になってからは盆栽を専門とする職人も出て来た。ところが、関東大震災(1923年)で被災し、職人たちは東京から離れ盆栽育成に適した土壌を求めた。彼らが住むようになったのが埼玉県の大宮公園北側一帯で、ここに大宮盆栽村ができ、最盛期の1935年頃には約30の盆栽園があった。現在も大宮盆栽村は盆栽の聖地として知られ、日本だけでなく世界から多くの愛好家が訪れている。
この大宮盆栽村に近接して設けられた「大宮盆栽美術館」は、世界で初めての公立の「盆栽美術館」として2010年3月に開館した。 旧髙木盆栽美術館のコレクションをひとつの核とした盆栽の名品、優品をはじめ、盆栽用の植木鉢である盆器や、一般には水石と呼ばれる鑑賞石、盆栽が画面に登場する浮世絵などの絵画作品、盆栽に関わる各種の歴史・民俗資料等を系統的に収集、公開されている。
2025年3月には、庭園の改修なども行われ、「魅せる美術館」にリニューアルされ、建物と盆栽が調和し、ロビーや2階テラスからも盆栽を観覧できるようになった。
100年目の節目を迎えた大宮盆栽村の歴史や、魅力に改めて注目する特別展「緑のフロンティア─大宮盆栽村─100年」が10月3日(金)~12月10日(水)に開催される。盆栽村の各盆栽園から代表する名品盆栽が出展され、それぞれの魅力や特徴が紹介される。
さらに会期中には、青山学院大学の高嶋修一教授や盆栽村出身の作家・野村路子、盆栽園の園主を招いた講演会・トークイベント、学芸員による展示紹介など、たくさんのイベントも予定されている。

会期:令和7年10月3日(金)~12月10日(水)
休館日:木曜日
開館時間:10月は9時~16時30分まで。11月と12月は9時~16時まで。
(いずれも入館は閉館の30分前まで)
会 場 さいたま市大宮盆栽美術館 (埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3)
お問い合わせ:℡.048-780-2091
HP: https://www.bonsai-art-museum.jp












