江戸時代に肥後熊本54万石の藩主となった細川家に伝来する美術工芸品・歴史資料などの展示公開を行っている「永青文庫」。10月7日(土)~12月3日(日)の期間、令和5年度秋季展【秘蔵!重要文化財「長谷雄草紙」全巻公開─永青文庫の絵巻コレクション─】が開催される。
右から左へ巻物を巻きながら鑑賞する絵巻は、今日のアニメや漫画にも通じる表現が見受けられる。永青文庫には、熊本藩士の大矢野家に伝来した「蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)」(国宝、皇居三の丸尚蔵館蔵、鎌倉時代〈13世紀〉)、「後三年合戦絵巻」の模本、「秋夜長物語絵巻」「申陽洞記絵巻」「いはや物語」など様々な絵巻が伝わっている。
そのなかでも、平安時代の漢学者・紀長谷雄(きのはせお)にまつわる怪異な説話を題材にした絵巻「長谷雄草紙」は、徳川将軍家の宝物として秘蔵されていた一巻で、幕末維新期の混乱により、長らく所在不明だったが、昭和に入り永青文庫の設立者・細川護立の所蔵になった。永青文庫では初めて、「長谷雄草紙」全巻が一挙に公開される。
また、永青文庫所蔵の『絵入太平記』は、軍記物語『太平記』を奈良絵本化した現存唯一の作品とされている。全83冊と奈良絵本としては最大の冊数を誇り、挿絵も金泥や金箔を用いており、大変豪華であるが、こちらも公開される。
なお、永青文庫に隣接する肥後細川庭園では、紅葉のライトアップが11月下旬から予定されている。
永青文庫の開館時間は、10:00~16:30(入館は16:00まで)、毎週月曜日休館、ただし10/9(月)は開館、10/10( 火)休館。