23.12.15 update

泉屋博古館東京「うるしとともに― くらしのなかの漆芸美」

 私たち東洋人の生活の中には、「漆」を使った漆芸品(しつげいひん)が深く根差しています。
 本展では、住友コレクションの漆芸品の数々が出展されます。15代住友家当主・住友吉左衞門友純(すみともきちざえもん ともいと)〔1864~1926〕は、春翠(しゅんすい)という号をもち茶の湯や香に親しみ、茶席や香席を彩る漆芸品を数多く集め自身が開く会で使用するのを楽しみました。
 また春翠は、古典芸能のうち能楽をとりわけ好み、生涯にわたって稽古に励みました。蒐集した能道具は今も残り、特に楽器の数々は美しい蒔絵で装飾されており、漆芸品としても見どころの多い作品ばかりです。

《青貝芦葉達磨香合》《朱塗菱形十字花弁盆》ともに中国・明時代16世紀 泉屋博古館東京

 漆芸品の見どころは、漆を単に有用な樹液として利用するだけにとどまらず、その特性を活かして美的世界を切り開いた点にこそあります。一度固まると頑丈な塗膜をつくる漆は、刀による彫刻を可能としました〔彫漆〕。また、塗ってから固まるまで時間を要するという性質も重要で、漆が硬化するまでに貝殻をつけたり〔螺鈿〕、金銀粉を蒔いたり〔蒔絵〕、など多彩な技法により作品が編み出されました。

《蜻蛉枝垂桜蒔絵香箱》江戸時代・17~18世紀 泉屋博古館東京

 同時展示されるのは近年寄贈された染付大皿コレクション。江戸時代後期、料理文化の隆盛とともに、料理を盛り付ける「うつわ」もより華やかになり、さまざまな文様が描かれた直径40cmを超える大皿が肥前・有田などで数多く生産されました。この染付大皿に魅了され、生涯に渡り染付大皿を収集し続けた故・瀬川竹生氏の染付大皿コレクションが受贈後初めて公開されます。干支の「龍」をモチーフにした漆芸品の数々にもご注目ください。

《染付恵比寿大橋文大皿》江戸時代後期・19世紀 泉屋博古館東京 (瀬川竹生コレクション)

展覧会名:企画展 うるしとともに― くらしのなかの漆芸美
同時開催「受贈記念 伊万里・染付大皿の美」

会期:2024年1月20日(土)〜2月25日(日)
会場:泉屋博古館東京(東京都港区六本木1丁目5番地1号)
時間:11:00~18:00 ※金曜日は19:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 ※2/12(月・祝)は開館、翌2/13(火)は休館
入館料:一般1,000円、高大生600円、中学生以下無料
※障がい者手帳等ご呈示の方はご本人および同伴者1名まで無料
【泉屋博古館東京 公式サイト】https://sen-oku.or.jp/tokyo/

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