22.06.23 update

小田急沿線の知る人ぞ知る美術館「町田市立国際版画美術館」で長谷川潔の深遠な表現世界に触れる

 1981年当時、町田市は30万人都市にふさわしい文化施設として版画美術館の建設を決定。1987年4月、小田急線町田駅から徒歩約15分の芹ヶ谷公園内に日本で初めての版画を中心とした公立美術館「町田市立国際版画美術館」が誕生した。

 同館は、古くは奈良時代から現代まで、日本をはじめ海外の版画を収集し、その保存と調査につとめ、現在収蔵作品数は3万点を超える。このコレクションから版画の歴史をたどることができ、美的価値の高いものであると同時に技術の変遷や社会的役割など、版画を多面的にとらえることができる貴重な美術館としてユニークな存在といえる。

 さて、同館では来る7月16日(土)から9月25日(日)まで、展覧会「長谷川潔 1891-1980展 ― 日常にひそむ神秘 ―」が開催される。パリで創作活動をして高い評価を得た銅版画家、長谷川潔(はせがわきよし 1891-1980)の、精緻な技術から日常にひそむ神秘を描き出した深遠な表現世界が堪能できる。

長谷川潔《アカリョムの前の草花(草花とアカリョム)》1969年、メゾチント 269×360mm 町田市立国際版画美術館
長谷川潔《横顔》1970年、メゾチント、361×268㎜ 町田市立国際版画美術館

長谷川潔 1891-1980展
― 日常にひそむ神秘 ―

【展覧会概要】
長谷川潔は1910年代半ばに文芸同人雑誌『仮面』の版画家として創作活動を開始し、1918年に日本を去って以来パリを拠点に活動した銅版画家である。サロン・ドートンヌやフランス画家・版画家協会に所属してパリの画壇で高く評価されたほか、フランスでは文化勲章、日本では勲三等瑞宝章を授与されるなど、芸術家としての功績がたたえられている。同館では、2018年度に長谷川の展覧会を開催しているが、本展はその展覧会をベースに、最初期の作品から1970年代の銅版画までを年代順に展示するとともに、関連作家の作品も展示、全体は約165点で構成されている。また挿絵本の傑作である仏訳の『竹取物語』について、挿絵頁が可能な限り多く展示される。深い精神性が反映された長谷川潔の深遠な表現世界にあらためて触れてみてはいかが。

【開催概要】
会 期:7月16日(土)〜9月25日(日)
会 場:町田市立国際版画美術館(東京都町田市原町田4-28-1)
時 間:平日/午前10時~午後5時 土日祝:午前10時~午後5時半(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日 *但し、7月18日(月)、9月19日(月)の祝日は開館、翌7月19日(火)、9月20日(火)は休館観覧料:一般800円、大・高生400円、中学生以下無料
【町田市立国際版画美術館|公式サイト】 http://hanga-museum.jp/


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