永青文庫には、大名調度、馬具、茶道具、楽器などの漆芸コレクションが充実しているが、日本のみならず、中国、朝鮮半島、琉球、東南アジアなどで制作された作品も所蔵している。
『新古今和歌集』巻十一に収められた恋の歌を表現した「時雨螺鈿鞍」(国宝)は、卓越した葦手絵の意匠と螺鈿の技法が精巧で、鎌倉時代における螺鈿鞍の中でも代表的な作品。他館への貸し出しが多く、永青文庫での展示は16年ぶりとなる。
また、永青文庫の設立者・細川護立が、当時の日本画壇を代表する横山大観・下村観山・竹内栖鳳に依頼して制作された三幅対の「観音猿鶴」は、貴重な名品であるが、軸木に埋め込まれた鉛が酸化して作品を傷つけてしまう恐れがあった。昨年「文化財修理プロジェクト」のクラウドファンティングを実施しこの度、修理が完了した。名品をより美しい状態で観賞できるのも嬉しい。
永青文庫の多様な漆芸コレクションの中から選りすぐりの作品と、唐物漆器は最新の調査結果とともに、地域別に紹介される。
「令和4年度秋季展 永青文庫漆芸コレクション かがやきの名品」は、10月8日(土)~12月11日(日)開催。会期中、一部展示替えがある。休館日は月曜(10/10開館、10/11休館)。会場は永青文庫(文京区目白台1-1-1)。