余命2カ月と宣告された妻の願いをかなえる夫婦の旅というとどことなく暗く、悲しいお話かと思えば、韓国で愛される楽曲をミュージカル仕立てにし、「人生は限りがあるけれど、それでも十分に美しく、幸せになれる」ことを伝えてくれる作品だ。
セヨン(ヨム・ジョンア)は明るく平凡な専業主婦。典型的な亭主関白の夫と生意気な息子と娘の四人家族で、健気に尽くすタイプのセヨンは、じっと我慢しながらの日々。そんなセヨンがある日余命宣告をされることから物語が始まる。夫のジンボン(リュ・スンリョン)は、セヨンが余命わずかと知りながらも労りの言葉をかけたり、優しくしたりできない。セヨンが失意の中にあっても以前と変わらないジンボンに、セヨンは最初で最後の反乱を起こし、死ぬ前にやりたいことをすると宣言するのだ。それが、学生時代の初恋の相手に会いに行くことだった。同行することを頼み込まれたジンボンは、渋々と旅に出ることに。
初恋相手を探す旅は、韓国を横断することになる。二人のドラマチックな出会いや、かつては親の反対も押し切って大恋愛の末結ばれたこと、甘い新婚旅行などの思い出が道中よみがえってくる。
二人の旅は、セヨンと初恋の相手の通った高校から、釜山、清州、そして小さな島へと続く。果たしてセヨンは初恋の人に会えたのだろうか。セヨンの人生のタイムリミットが迫ってくる中で、ジンボンがとった意外な行動とは──。
セヨンの若い頃を演じるのは、パク・セワン。高校生の甘酸っぱい初恋の姿をリアルに演じ、観客の共感を呼ぶ。セヨンの初恋の相手は、誰もが憧れる放送部の先輩・ジョンウで、オン・ソンウが演じる。ジョンウの純粋で初々しい気持ちを見事に表現し、ときめく初恋の思い出を観客に呼び起こす。
そして劇中には、1970~2010年代の韓国で幅広く愛されている名曲が使われている。俳優人たちも吹替なしで歌い踊るのも見どころの一つだ。
監督は、韓国映画で初めてIMF通貨危機を題材にした『国家が破産する日』(18)で高い評価を得たチェ・グッキ。全く違うジャンルの本作で感動的な映画を完成させた。
笑って、泣いてまた笑って。ある夫婦の軌跡『人生は、美しい』に爽やかな感動を味わってみては。
『人生は、美しい』
11月3日(金・祝)シネマート新宿、ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次ロードショー
監督:チェ・グッキ(『国家が破産した日』)
出演:リュ・スンリョン、ヨム・ジョンア
パク・セワン、オン・ソンウ、シム・ダルギ、ハ・ヒョンサン、キム・ダイン
特別出演:チョン・ムソン、パク・ヨンギュ、キム・ヘオク、シン・シネ、キム・ジョンス、コ・チャンソク、ヨム・ヘラン、キム・ソニョン、リュ・ヒョンギョン
配給:ツイン
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