絢爛豪華な18世紀のヴェルサイユ宮殿を舞台に、ルイ15世と公妾のデュ・バリー夫人の愛と波乱万丈の物語が、2月2日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ他全国でロードショーとなる。
フランス国王・ルイ15世の公妾(公式の愛人)として社交界の華と称えられたポンパドォール夫人亡きあと取り立てられたのがデュ・バリー夫人こと、ジャンヌ・デュ・バリーである。
フランス、シャンパーヌ地⽅の貧しい家庭に私⽣児として⽣まれたジャンヌだが、母とパリへ出て娼婦のような生活を始めるとその美貌と知性で次々に男たちを虜にしていく。ついには、国王ルイ15世の公妾にまでのぼりつめるのだ。ルイ15世の孫で、ルイ16世に嫁いできたマリー・アントワネットとの確執が舞台や映画でも取りざたされる人物だが、彼女はほんとうに悪女だったのだろうか、なぜルイ15世がデュ・バリー夫人に惹かれたのか、今までのデュ・バリー夫人像とはまた違う新たな像が描き出された作品である。
本作の見どころの一つは、監督のマイウェンが、自らデュ・バリー夫人を演じていることだ。マイウェンは、『殺意の夏』(83)ではイザベル・アジャーニが演じた子供の役を演じるなど女優としてのキャリアも長い。ソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』(2006)を観て、ジャンヌに魅了された監督はジャンヌの伝記を読み漁り、約10年の構想を経て脚本作りに3年をかけたという。そして、ルイ15世をジョニー・デップが演じることに決まるまでも、意中のフランス人俳優に断られるなどキャスティングにも時間がかかった。しかし、災い転じて福となすというのは、このことだろう。ジョニー・デップは、ルイ15世にはまり役だった。ルイ15世のもつロマンチックな側面や、繊細さがジョニーに重なり、何よりも華やかさがある。全編にわたりフランス語で演技をすることはもちろんのこと、ジョニーは、ルイ15世が、好んだ食べ物や飲み物から始まり、日常生活の逸話など、かなり詳細な伝記を読んでルイ15世の人生を演じたのだ。
最大の見どころは、リアルなヴェルサイユ宮殿の「鏡の回廊」や王室礼拝堂、広大な庭園などを舞台に、豪華な衣装を身に付けた俳優たちが、18世紀の王室を再現する。加えて衣装はシャネルの大々的な協力によるもの。2023年の第76回カンヌ国際映画祭でオープニングを飾り、フランスでは観客75万人という大ヒットを記録した。
本作は、監督のマイウェンのこだわりから、35mmで撮影を敢行された。独特の質感や雰囲気があり「映画」らしさを感じさせる粒子の粗さはもちろん、フィルムの節約ために、出演する俳優たちにとってミスが許されない緊張感が生まれているし、ヴェルサイユ宮殿のプレッシャーに匹敵するようなインパクトを俳優たちに与えたとマイウェン監督は語っている。
マイウェン監督のジャンヌへの思いが10余年の時を経て実を結んだ『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』。ヴェルサイユ宮殿の中にいるような錯覚を覚え、18世紀のフランス王室を堪能できる夢のような116分である。
『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』
2024年 2 ⽉2⽇(⾦)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
配給:ロングライド
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(C)Laurent Dailland ©Stéphanie Branchu – Why Not Productions
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