スティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』で描かれたオスカー・シンドラーのように、ナチスの手から669人の子供たちを救った人物が英国にもいた。これはチェコの子供たちをナチスから救い 50 年後に驚きの再会を果たしたニコラス・ウィントン(アンソニー・ホプキンス、青年時代をジョニー・フリン)の愛と苦悩を描いた感動の実話である。
1938年、第2次世界大戦直前。ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで悲惨な生活を送っている姿を見たニコラス・ウィントンは、子供たちをイギリスに避難させ ようと里親探しと資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、次々と子供たちを列車に乗せる。だが、遂に開戦の日が訪れる。それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続け苦悩する日々が続いていた―。
国境を越えられなかった子供たちのことが忘れられず、もっと何かできたのではないかと自分を責めながら生きてきたニコラスにとって、一冊のスクラップブックには貴重な記録が残されていた。決して遠い〝過去〟ではなかったのだ。ふと思い立ち、久しぶりに難民支援の仲間であるマーティン(ジョナサン・プライス)に会って相談すると、「君がしたことは素晴らしい。1人を救えば世界を救う」とニコラスを称えるのだった。マーティンの紹介で、ニコラスはメディア王の妻で歴史家の女性にスクラップブックを預けると、BBCのTV番組「ザッツ・ライフ!」で紹介するので、番組に来てくれと連絡が入る。頼まれるままに出かけて行ったニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と、思いもよらない未来だった。
ニコラスに扮するのは、アカデミー賞Ⓡに2度輝く、世界の名優アンソニー・ホプキンス。ニコラスの青年時代として共演するのは、『ブルックリンの恋人たち』のジョニー・フリン。ニコラスの母はオスカーノミネート俳優のヘレナ・ポナム=カーター、難民支援の仲間に「ザ・クラウン」シリーズなどのジョナサン・プライス。監督はポン・ジュノと共に2019 年、Netflix で世界的ヒット作となったTNTの「スノーピアサー」で製作総指揮と監督を務めたジェームズ・ホーズ。
これは、「ひとりの命を救うことは、世界と未来を救うこと」を伝え、今日、あってはならない戦争が再び始まり、現在も続くこの時代だからこそ贈られる、人間の温かな心と無償の愛が生み出した未来を描く希望の物語である。
『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』
6月21日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほかにて全国ロードショー
©WILLOW ROAD FILMS LIMITED, BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2023
配給:キノフィルムズ