2匹の猫、クロとチャーと過ごす30歳の二星優斗(古川雄輝)。働いた経験もない優斗は、唯一の肉親だった祖父の死後、不動産会社の有美の手を借りながら、猫付きシェアハウスを始めることにした。入居の最大の条件である、猫に気に入られた4人の若者たちと、新たな1匹の連れ猫との同居生活が始まるが、それぞれに人生の夢を持つ4人の同居人は、次々と新たなステージへと巣立ち、再び、優斗と猫2匹との生活が始まった。ここまでが、本年春に連続ドラマとして放送されていたおおよそのあらすじ。関東エリアではTVKなどのローカル局で放送されていたが、猫×イケメン×シェアハウス×おいしいご飯が話題となって、注目されたドラマだった。正直、映画化されるとまでは思っていなかったが、市原隼人主演で人気があったドラマ「おいしい給食」が、映画化へと発展し、『劇場版 おいしい給食 Final Battle』『劇場版 おいしい給食 卒業』が制作されたことが思い出される。監督を手がけるのも同じ綾部真弥である。
劇場版は、有美に促され、再び猫付きシェアハウスの同居人を募集するところからスタートする。そして、優斗が猫付きシェアハウスを始めた本当の理由が明らかにされる。優斗は、自分自身と猫付きシェアハウスの存在を全国に知らしめるべく、あの手この手で住人を募るが、そこにはある事情があった。そんな優斗をサポートするべく、かつての同居人だった4人と連れ猫1匹が再結集。
このシェアハウスでは、いくつかルールがあって、その一つに同居人と猫が、必ず一緒に朝ごはんの食卓を囲むというのがある。しかも、人間も猫も同じメニューである。もちろん、猫用には味付けが配慮されているに違いない。劇場版でも、働かないでずっと家にいた料理の得意な優斗が作る、朝の食卓を彩るおいしそうな料理が披露されている。同居人を演じる俳優たちも、細田佳央太をはじめ、ドラマなどで注目されている〝イケメン〟たちである。そして、なんといっても猫たちの表情や動きは、猫好きにはたまらない映画になっている。
この映画を観る人たちは終始相好を崩していることだろう。舞台となる古民家の縁側、おいしいご飯、そして〝家族〟がそろって朝ご飯を食べる。ちょっとノスタルジーなそんな景色が、人間でも、猫でも一つ屋根の下で一緒に過ごすことから生まれる、温かく、優しい気持をスクリーンににじませる。家族、友人、そんな親しい誰かと一緒に観たくなるハートフルな物語である。
『劇場版 ねこ物件』
8月5日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:綾部真弥
出演:古川雄輝/細田佳央太 上村海成 本田剛文(BOYS AND MEN) 松大航也/金子隼也 山谷花純/長井短 竜雷太
©2022「ねこ物件」製作委員会