『天使にラブ・ソングを…』の邦題で1992年に公開され、日本でも多くの人々に愛され続けるコメディ映画『Sister Act(シスター・アクト)』を原作に、映画で主演を務め、ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で主演女優賞にノミネートされたハリウッドスター、ウーピー・ゴールドバーグ自身がプロデュースし、2009年にミュージカル化が実現した。初演となったロンドン・バレイディアム劇場でのワールドプレミアは、連日スタンディング・オベーションの大ヒット公演となった。翌2010年には、ローレンス・オリヴィエ賞4部門にノミネートされ、2011年に、ブロードウェイで開幕するや、トニー賞5部門にノミネートされる、大評判となった。その後も、世界7言語で上演され、ヨーロッパ、アジアなど世界で600万人をこえる観客を動員している。
2015年7月の初来日公演はソールドアウトで、2017年の再来日公演も連日満席という盛況ぶり。何より印象的だったのが、観終わった観客たちの顔がいずれも笑顔で、改めてロビーに飾られているポスターをじっくりと眺めながら、ミュージカル・シーンを振り返っているような姿だった。劇場を去りがたいという観客たちの思いが伝わる光景だった。この作品がいかに良質の舞台であり、観客の心をとらえたという証ではないだろうか。そして、このたび7年ぶりとなる来日公演が、東京と大阪で開催される。3度目の来日公演となる今回は、ストーリーはそのままに過去2回の公演とは異なる新演出と、豪華にグレードアップした新しい舞台美術で、来日版史上最大のスケールを謳っている。
映画版の挿入曲とは全く異なる、『リトル・マーメイド』や『アラジン』の作曲でも知られるアラン・メンケンがすべて書き下ろした楽曲は、そのままである。
殺人の現場を目撃してしまったスターを夢見るしがないクラブ歌手・デロリスが、かくまわれた修道院で巻き起こす騒動を描いた本作の人気の理由の一つは、観劇後の高揚感と満足感だろう。客席が笑顔と感動で一つになる、まさしく〝ハッピー・ミュージカル〟で、何度も体験したくなる。
日本版も、2014年の帝国劇場での初演をかわきりに、2016年、2019・20年、2022・23年と、再演を重ねているが、初演でデロリス役を演じた森公美子、2019年のシーズンで同役を演じた朝夏まなとは、共に菊田一夫演劇賞を受賞しており、すでに日本人にとってもなじみ深いミュージカルになっている。
ウーピー・ゴールドバーグは、「このショーには誰を誘ってもOK! 嫌いな人だっていいの。観終わったあとには仲良しになれるから!」とコメントしているが、生き方が異なる女性たちが、歌と音楽を通じて友情を育むストーリーは映画のままに、ミュージカルならではの生だからこそのエネルギッシュな歌声が、観客のハートとボディをダイレクトに揺さぶり、爽快な感動を与えてくれている。誰かと感動を共有したくなる、体験したいミュージカルである。
ブロードウェイ・ミュージカル
天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)
オリジナルプロデュース:ウーピー・ゴールドバーグ
作曲:アラン・メンケン
演出:ロバート・ヨハンソン
出演:来日カンパニー
生演奏・英語上演・日本語字幕あり
※未就学児童入場不可
<東京公演>
〔公演日程〕7月3日(水)~7月21日(日)
〔会場〕東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F)
〔問〕チケットスペース 03-3234-9999(10:00~15:00 休業日を除く)
<大阪公演>
〔公演日程〕7月24日(水)~7月28日(日)
〔会場〕オリックス劇場
〔問〕キョードーインフォメーション0570-200-888(11:00~18:00 日祝休業)