明治座、東宝、ヴィレッジという、それぞれ歴史もカラーも異なる三社の同じ年齢の三人の男性プロデユーサーが集まり立ち上げた〝三銃士企画〟。第一弾公演は、2020年12月より上演された、漫画家・岡野玲子の『両国花錦闘士』で、力士の世界をポップにセクシーに描き、演劇界でも大きな話題となった。それから2年、〝三銃士企画〟第二弾、シェイクスピアの『リチャード三世』×昭和の歌謡界をテーマにした音楽劇『歌妖曲～中川大志之丞変化』が幕を開ける。戦後の芸能界に君臨する鳴尾一族。その一族の末っ子ながら、ねじ曲がった四肢と醜くひきつった顔のため、不遇な宿命を背負い、その存在を闇に葬られた主人公・鳴尾定（なるお さだむ）が、美貌の歌手・桜木輝彦となり、昭和40年代の歌謡界で一躍スターダムに駆け上がり、一族への報復を企てるも、やがて破滅の道へと突き進むことになる。
主演は、自身の名を冠する本作で、本格的舞台初挑戦にして初座長を務める中川大志。3、4歳の頃からダンスを始め、2011年の大ヒットテレビドラマ「家政婦のミタ」で、視聴者にその印象を深く刻み込み、その後も数々の映画やドラマに出演し、幅広い役柄で自身の俳優としての可能性を拡げ続けてきた中川大志。放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、畠山重忠を演じ、その凛々しい姿が視聴者を沸かせ、討ち死に後は〝畠山ロス〟続出という現象も巻き起こし、今、もっとも勢いのある俳優として耳目を集めている。演劇界からも、〝期待の俳優〟として注目される存在である。
中川自身も、今までにない新たな世界へ踏み出すことが、俳優としてのレベルアップにつながると信じ、着実に俳優としてのキャリアを積み重ねてきた今だからこそ「舞台上でも戦える自信がある」と、初座長公演に意欲を燃やしている。
定と輝彦は、タイトルに自身の名が入っている通り、中川大志を想定して書かれている。今回、作・演出を手がける倉持裕は、「〝三銃士企画〟の趣旨であるスペクタクルやケレン味にハマる俳優として、これまで見たことのないスーパーキャラクターを演じられると確信している」と、俳優・中川大志に絶大の信頼を寄せる。その期待を背負い中川は、光が強いほど、その裏に深い影ができるように、「輝彦として生まれ変わった定の中に渦巻く強く激しい愛憎の源を自分なりに見つけ出し、役の持つエネルギーを表現したい」と力強く語る。また、「ファンタジーのような幻想的な世界観に、血の通った人間の匂いや温度といったものを感じてもらえる作品にしたい」と、すでにプランは出来上がっている。
共演には、鳴尾家に怨恨を抱くレコード会社の女社長・蘭丸杏役に、舞台『ジュリアス・シーザー』のアントニー役での好演も記憶に新しい松井玲奈、鳴尾家の長男で期待の新人歌手・鳴尾利夫役に劇団唐組所属の福本雄樹、裏社会でのし上がるために後に定と手を組むこととなるチンピラ・徳田誠二役に、映像作品、舞台と幅広く活躍している〝若きベテラン〟浅利陽介、鳴尾家の愛娘でスター街道を邁進中の一条あやめ役に、シンガーソングライターとしての活動の傍ら舞台を中心に俳優としても存在感を見せる中村中、鳴尾プロダクションを文字通り裏から支える薮内組三代目組長・大松盛男役に、舞台『偽義経冥界歌』『セールスマンの死』『王将』『世界は笑う』、映画『アキラとあきら』など、現代の演劇作品や映像作品に欠かせない俳優とも言える山内圭哉、元映画スターで、鳴尾プロダクション社長・鳴尾勲役に、つかこうへい、三谷幸喜、宮藤官九郎、いのうえひでのり、長塚圭史、前川知大など多才な劇作家や演出家たちの作品で、舞台俳優としての確かな足跡を残している池田成志と、演劇ファンを喜ばせる俳優が揃った。
また、舞台で披露される楽曲はすべて書き下ろしのオリジナルで、中川大志演じる美貌の歌手・桜木輝彦のLPレコードが、舞台初日の11月6日にリリースされることも決定した。劇中でも歌われる、倉持裕作詞、和田俊輔作曲による主題歌「彼方の景色」、劇中歌「失われた時に」も収録され、ブックレットには、レコーディング風景の写真や、（架空の）音楽評論家・下町東洋による桜木輝彦と楽曲のライナーノーツ（解説）も掲載される。すでに配信は始まっている。
配信された楽曲を聴いた後だと、桜木輝彦による唄と殺しの華麗なるショーが、中川大志の芝居と歌声で、いかに観客を魅了していくのか、芝居を観るのが一層楽しみになってくる。
音楽劇『歌妖曲～中川大志之丞変化～（かようきょく～なかがわたいしのじょうへんげ～）』
作・ 演出：倉持裕
出演：中川大志/松井玲奈 福本雄樹/浅利陽介 中村中/福田転球 玉置孝匡 徳永ゆうき 中屋柚香 長田奈麻 香月彩里 四宮吏桜/山内圭哉/池田成志 ほか
東京公演
〔公演日程〕11月6日（日）～11月30日（水）
〔会場〕明治座
〔問〕明治座チケットセンター03-36666-6666（10:00～17:00）
福岡公演
〔公演日程〕12月8日（木）～12月12日（月）
〔会場〕キャナルシティ劇場
〔問〕キョードー西日本0570-09-2424（11:00～17:00日曜・祝日休）
大阪公演
〔公演日程〕12月17日（土）～12月25日（日）
〔会場〕新歌舞伎座
〔問〕新歌舞伎座テレホン予約センター06-7730-2222（10:00～16:00）
