改めて、東映ってすごいなと思ったのは、映画がまだ映像媒体のトップだった時代、大川博は、当時からよくアメリカに行っていた。そこで、テレビの三大ネットワークの現場を見て、これからはテレビだとテレビに進出し、ボウリングが流行っていれば、いち早くボウリング場経営に乗り出し、日本一のレーン数を誇ったこともあった。そのうちビデオが出来たときには、ビデオ会社を作った。映画が下降線をたどりつつあったときに、テレビやビデオが東映を支えてきた。そして、今は配信である。配信事業を一番活性化させたのはアニメである。そういう意味では、東映は進取の気性に富むというのか、とにかく新しもの好きの会社だった。そういう東映の歴史を知ることから、新しいものが生まれる。その中から千に三つも当たればという、いわゆる〝千三つの世界〟でかまわない。そんな気概で映画製作に向き合ってくれることを願っている。
とりとめのない話にお付き合いいただいて、多くの方からいろんなお言葉もかけていただいた。感謝の気持でいっぱいである。これからも映画館に足を運んでいただき、やっぱり映画は面白いなと思っていただければ嬉しい限りだ。ありがとうございました。
『スワロウテイル』(96)、『リリイ・シュシュのすべて』(01)――。時代を震わせてきた監督・岩井俊二×音楽・小林武史による新作映画が、遂に誕生した。現在公開中の『キリエのうた』である。ふたりの心を射止めたのは、楽器をもたないパンクバンド<Bish>を経て、現在ソロとして活動するアイナ・ジ・エンド。歌うことでしか〝声〟が出せない路上ミュージシャン・キリエ役で映画初主演を果たし、本作のために6曲を制作。スクリーン越しに圧巻の歌声を響かせる。アイナと共にメインキャストを演じたのは、次代を担う面々。姿を消したフィアンセを捜し続ける青年・夏彦役に、松村北斗(SixTONES)。過去にとらわれた青年の複雑な心情表現を細やかな演技で魅せる。傷ついた人々に寄り添う教師・フミ役は、黒木華。清らかな慈愛を体現し、物語に奥行きを与える。過去を捨て、名前を捨て、キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性・イッコ役には、広瀬すず。今回は従来のイメージを覆す役どころに挑み、新境地を拓いた。
『キリエのうた』2023年10月13日(金)より全国公開中
原作・脚本・監督:岩井俊二
企画・プロデュース:紀伊宗之(『孤狼の血』シリーズ『シン・仮面ライダー』『リボルバー・リリー』他)
出演:アイナ・ジ・エンド 松村北斗 黒木華/広瀬すず
制作:ロックウェルアイズ
配給:東映 ©2023 Kyrie Film Band
「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」といった数々の埼玉ディスを連発するも埼玉の寛容さに助けられ、まさかの大ヒット! 空前の埼玉ブームを巻き起こした『翔んで埼玉』がこの秋、再びスクリーンで壮大な茶番劇を繰り広げる! 東京都民からひどい迫害を受けていた埼玉県人は、麻実麗率いる埼玉解放戦線の活躍により、通行手形を撤廃し自由と平和を手に入れた。日本埼玉化計画を推し進める麗は、埼玉県人の心を一つにするため、越谷に海を造ることを計画する。白浜の美しい砂を求め、未開の地・和歌山へと向かうのだが……関西にも存在する〝超・地域格差〟に〝通行手形制度〟! そして、恐るべき大阪の陰謀はやがて日本全土を巻き込む東西対決へと展開していくのだった! すべてにおいてスケールもパワーも格段にアップ! 磨きのかかった〝ディス〟と〝郷土愛〟で「んなアホな!」とツッコミながら楽しめる、極上のエンタテインメントがここに誕生!
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』11月23日(木・祝)全国公開
出演:GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助 ほか
監督:武内英樹
©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会