自ら〝名付け親〟となった司葉子のデビュー作『君死に給うことなかれ』(54)における司との年の差は、撮影時点でなんと十九歳。続く『不滅の熱球』で夫婦役を演じた後、宝田明が司の相手役としてクローズアップされると、池部が宝田に対してバッシングの態度をとったことは宝田自身が明らかにしている。
ここで共演女優との歳の差を列挙してみると、『四つの恋の物語』(47)における恋人役・久我美子(※5)とは十四歳違い。『坊っちゃん』(53)では十七歳差の岡田茉莉子=マドンナと共演、軽妙にサンドイッチマン役を演じた『都会の横顔』の有馬稲子は恋人役ではないので十五歳差なのはよいとしても、『青い真珠』(51)における恋のお相手・島崎雪子とはやはり十四の年齢差があった。
ちなみに『暁の脱走』の山口淑子とはわずか三歳違い、『朝の波紋』(52)で恋人役だった高峰秀子とも七歳の差しかなかったが、谷口千吉監督『乱菊物語』(56)で絡んだ八千草薫(ここで八千草は谷口と恋仲になる)とは十四、小津安二郎監督の『早春』(56)や『雪国』で共演した岸恵子とは十五、『トイレット部長』で妻役を演じた淡路恵子とは十六、『妖星ゴラス』(62)で恋心を抱く白川由美とはなんと二十歳もの開きがあった。
こうして池部は年下の女優たちと共演を重ねていたのだから、まさに役得。やはり谷口監督の『夜の終わり』(53)では、まだ十九歳だった岡田茉莉子とキスシーンまでこなしている。
森繁久彌と親子を演じたのが『あゝ青春に涙あり』(52)なる学園もの。父親役の森繁との歳の差はわずか三歳! ここでも大学生役の池部(三十六歳! ※6)は、前年の千葉泰樹監督作『若い娘たち』と『若人の歌』、山本嘉次郎監督『女ごころ誰か知る』でも学生役を演じていたのだから、いかに見た目が若かったかが分かろうというもの。のちに東映映画『望郷子守唄』(72)では、四つ上でしかない藤田進と親子役(もちろん池部が息子役)を演じている。












