大川恵子は結婚を機に引退したが、丘さとみと桜町弘子には、テレビでも記憶に残るドラマがある。昭和39年から42年まで放送された石井ふく子プロデュースのドラマ「ただいま11人」に四女役で丘さとみが出演していた。ちなみに長女は池内淳子、次女は渡辺美佐子、三女は中原ひとみだった。大家族構成の当時の代表的なホームドラマで、森繫久彌主演の「七人の孫」と並び、人気ホームドラマの代表作としてテレビ史に名を刻んでいる。ただ、丘さとみも結婚のため途中で降板し、大空眞弓が役を引き継いだ。桜町弘子は、昭和39年の石坂洋次郎原作の昼の帯ドラマ「あじさいの歌」だ。古い因習の中、世間から隔離され実社会を知らないヒロインを演じていたが、長い髪が美しかった。日活映画では芦川いづみが演じている。昭和の映画女優としても語られることがめったにない3人だが、僕にとっては、少年時代の思い出の風景に今も残る美しい女優たちだ。
文:渋村 徹(フリーエディター)
※プロマイドの老舗・マルベル堂では、原紙をブロマイド、写真にした製品を「プロマイド」と呼称しています。ここではマルベル堂に準じてプロマイドと呼ぶことにします。
プロマイドのマルベル堂
大正10年(1921)、浅草・新仲見世通りにプロマイド店として開業したマルベル堂。2021年には創業100年を迎えた。ちなみにマルベル堂のプロマイド第一号は、松竹蒲田のスター女優だった栗島すみ子。昭和のプロマイド全盛期には、マルベル堂のプロマイド売上ランキングが、スターの人気度を知る一つの目安になっていた。撮影したスターは、俳優、歌手、噺家、スポーツ選手まで2,500名以上。現在保有しているプロマイドの版数は85,000版を超えるという。ファンの目線を何よりも大切にし、スターに正面から照明を当て、カメラ目線で撮られた、いわゆる〝マルベルポーズ〟がプロマイドの定番になっている。現在も変わらず新仲見世通りでプロマイドの販売が続けられている。
マルベル堂 スタジオ
家族写真や成人式の写真に遺影撮影など、マルベル堂では一般の方々の専用スタジオでのプロマイド撮影も受けている。特に人気なのが<マルベル80’S>で、70~80年代風のアイドル衣装や懐かしのファッションで、胸キュンもののアイドルポーズでの撮影が体験できるというもの。プロマイドの王道をマルベル堂が演出してくれる。
〔住〕台東区雷門1-14-6黒澤ビル3F
あなたが心をときめかせ、夢中になった、プロマイドを買うほどに熱中した昭和の俳優や歌手を教えてください。コメントを添えていただけますと嬉しいです。もちろん、ここでご紹介するスターたちに対するコメントも大歓迎です。