23.11.24 update

建築物と作品が一体となった空間で、美術鑑賞を楽しむ贅沢

東京都庭園美術館

旧皇族朝香宮鳩彦殿下、允子妃殿下の邸宅として約2年の歳月をかけ1933 (昭和8)年5月に完成した。ガラスレリーフや照明器具、壁画の油絵などは、ルネ・ラリックやアンリ・ラパンがフランスで作った作品を船で運び据えられたものだ。両殿下は宮内省内匠寮の権藤要吉技師と打ち合わせを重ね、允子妃殿下は自ら暖房器のグリルのデザインや各部屋の壁紙の選択、殿下の浴室の場所にも意見したという。夫妻専用のベランダには、黒と白の大理石が市松模様に敷かれ、庭園が一望できる。47年皇籍離脱、朝香宮家が邸宅を離れたあとは一時期総理大臣公邸の役割を担っていたこともある。2015(平成27)年には国の重要文化財に指定された。
〔住〕港区白金台5-21-9
〔問) 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
〔HP〕https://www.teien-art-museum.ne.jp/


台東区立 朝倉彫塑館

彫刻家・朝倉文夫が自ら設計したアトリエ兼住居。「朝倉彫塑塾」と命名され、門下生を育成した。1階アトリエには、4 m近い『小村寿太郎像』や『大隈重信像』に圧倒されるが、天井が8.5 mもあるので狭さを感じさせない空間だ。アトリエの奥に進むと、渡り廊下の左側には建物のどこからでも見ることの
できる回廊式の庭園が広がる。2階の日当たりの良いサンルーフの部屋は東洋蘭専用だ。3階の和室「朝陽の間」から屋上に抜けると、バラの花がきれいに咲いていた。当時、弟子たちは「園芸」が必修科目で、屋上では野菜を育てていたという。今でもジャガイモやナス、トマトなどが植えられており、近くの小学生か手伝いに来るそうだ。現在、敷地全体が国の名勝に指定されている。
〔住〕台東区谷中7-18-10
〔問〕03-3821-4549
〔HP〕https://www.taitogeibun.net/asakura/


岡本太郎記念館

1970年大阪で万国博覧会が開催されたが、岡本太郎(1911~ 96)の『太陽の塔』は、各方面に影響を与えた。岡本が生涯のパートナー敏子と1954年から約50年間生活した住宅兼アトリエか、98年から「岡本太郎記念館」として一般公開されている。青山の骨董通りから1本入った閑静な住宅街に南国を思わせる樹々やモニュメントが庭に並ぶ。建物の設計はル・コルビジュエの愛弟子・坂倉準三で、1階はサロン・アトリエ部分、2階は展示室になっている。サロンには等身太の岡本太郎像もあり、アトリエは岡本が使用していた時と変わらない保存状態で、作品制作中の岡本がひよっこりでてきそうな雰囲気だ。エネルギッシュな岡本太郎の作品に囲まれていると力が湧いてくるようだ。
〔住〕港区南青山6-1-19
〔問〕03-3406-0801
〔HP〕https://taro-okamoto.or.jp/


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