23.07.21 update

役者のエネルギーが直に伝わる小劇場を訪れる

ザムザ阿佐谷

 

「ザムザ阿佐谷」は、JR 阿佐ヶ谷駅北口から徒歩3 分、住宅街にあってビルの表面に緑の木々が覆いかぶさったような「ラピュタビル」の地下にある。天然古木の温かみのある劇場は客席の傾斜が急で、舞
台を見下ろすようなつくりだ。立派な古材の梁と土壁が他の劇場にはない雰囲気を醸し出している。「アングラっぽいお芝居の好きな方に好まれるようですね」と支配人の石井紫さん。席は129 席。座布団を敷いて座るとやや窮屈だが、演劇の他、ライブや映画の上映会、トークイベントの会場としても使われる。1 階は名画座のラピュタ阿佐ヶ谷で、映画に関する本が並び、壁には俳優のサインも。3 階にはレストラン「山猫軒」がある。
〔住〕杉並区阿佐谷北2-12-21 ラピュタビルB1 〔 問〕03-5327-7640


こまばアゴラ劇場

「こまばアゴラ劇場」は、劇団青年団の主宰である劇作家の平田オリザ氏が芸術総監督を務める。5 階建てのビルは元々平田氏の父の家を改築したもので、1 階には演劇に関する書籍が並び、ポスターや他会場のチラシなどもたくさん置かれ、演劇の情報がつぶさに入手できる。劇場は2、3 階で、舞台と客席は固定されておらず、自在に変えられる。2003 年に日本の劇場で初めて本格的な支援会員制度を導入したのは、こまばアゴラ劇場だ。会員になると、芸術監督のたてた年間プログラムをシーズン通して観劇でき、会員証の提示で、こまばアゴラ劇場、アトリエ春風舎の公演、青年団公演その他連携劇場の観劇が可能だ。年間通して50 本以上、何回でも優先的に観ることができる。年会費は30,000 円。平田オリザ氏ほか若い制作者が選定したラインナップは魅力的で、誰でも目が肥えて演劇通になれるかもしれない。
〔住〕目黒区駒場1-11-13 〔 問〕03-3467-2743


小劇場 楽園

「小劇場 楽園」は下北沢にある本多劇場グループ8 劇場のひとつで開場は2007 年。「『劇』小劇場」の向かいの地下にあり、席数は約60 ~90 席。2 方向の客席が舞台を囲む作りになっていて、同じシーンを違う角度から観劇できる面白さがある。「フラッパーズ」の企画・制作を手掛けるジョーズカンパニーは設立25 年、代表の桝川譲治さんは、かつては渋谷ジアンジアンや一昨年も劇団四季の名作「アラジン」のジャファー役などを演じる俳優でもある。以前「ココ・スマイル」は400 ~ 500 席の中劇場で公演していたが、「フラッパーズ」は、客席からも近く後ろ姿も客席から見られて緊張感を保てる劇場でやりたいと探していた時「小劇場 楽園」が見つかり、今回は5年ぶりの再演となった。学校に通いながら週2 回の練習に参加する女優の卵たちは、学業もおろそかにしないことが決まりだとか。「みんな成績良いんですよ」と桝川さん。2 つのチームに分かれた本公演は、チーム桜:工藤安奈、垂石瑚子、黒江あかり、菊池優美、竹村衣織、チーム風:橋本わかな、大野愛美、吉池鈴舞、井上沙香、綾川える、が演じた。
〔住〕世田谷区北沢2-10-18-B1 〔問〕03-3466-0903

1 2 3

映画は死なず

新着記事

  • 2024.09.17
    生誕100年、時代の先端をとらえ続けた表現者の全貌...

    10月12日(土)~12月8日(日)

  • 2024.09.17
    コーダの青年になった吉沢亮の名演技に泣く、耳のきこ...

    9月20日(金)全国公開

  • 2024.09.13
    アメリカ合衆国、内戦勃発!再び起こり得る〈南北戦争...

    10月4日(金)全国公開

  • 2024.09.13
    国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき 」観賞券

    応募〆切:10月10日(木)

  • 2024.09.12
    堤真一&瀬戸康史、大東駿介&浅野和之という2組によ...

    公演:東京、大阪、福岡

  • 2024.09.12
    谷村新司、堀内孝雄、元モーニング娘の安倍なつみ、や...

    水越恵子「Too far away」

  • 2024.09.12
    SOMPO美術館「カナレットとヴェネツィアの輝き」...

    応募〆切:10月10日(木)

  • 2024.09.11
    新選組・副隊長の土方歳三をニヒルな風貌と演技で天下...

    土方歳三の雛型を創り上げた栗塚 旭

  • 2024.09.05
    引きこもりの愉しみ─萩原 朔美の日々   

    第22回 キジュからの現場報告

  • 2024.09.05
    尾上松也、瀧内公美、段田安則らが織田作之助の『夫婦...

    東京、愛知、大阪公演

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial